
フルーツを食べる人 vol.10 バナナ
SUMMARY
- ・アレキサンダー大王とバナナ
- ・バナナの育つところ
- ・国産バナナ
- ・バナナの栄養
特集記事としてお送りしている”フルーツを食べる人”。
今回で10回目の連載となりました。今回のトピックは、熱帯のフルーツであるバナナ。日本国内で生産され、皮ごと食べることが出来るバナナにもフォーカスします。
紀元前約300年、世界の中心は古代ギリシャのマケドニア王国であった。そのマケドニア王国を治めていたのはヘラクレスとアキレウスを祖に持つといわれる彼の有名なアレキサンダー大王である。
20歳にして強大な王国と軍隊を継承したアレキサンダー大王は東方遠征に着手。ペルシャ帝国を制圧後、世界の果てを目指しインドにまで侵攻した。この時、インドのインダス川上流で発見したのがバナナである。
バナナの原産地は東南アジアを含むマレーシア付近の熱帯アジアといわれ、西のインドにも伝播していた。エジプトを征服し、ファラオの地位にも就いていたアレキサンダー大王によりエジプトにもバナナが持ち帰られたことから、アフリカにも広まったといわれる。
熱帯雨林でよく育ち、それまでアフリカで主食だったヤムイモに比べて手間が少なく収穫量も多かったため、アフリカの熱帯雨林地帯で主要な食糧として広まっていった。これにより食糧が安定し、人口が増加することでこの地域の文化文明が発展していったという。
現代ではフィリピンや台湾でたくさん生産されているイメージがあるが、バナナには生食に適したものと料理して食べるのが適したものの2種類あり、生食用バナナの生産量はインドが28%を占め、料理用バナナも東アフリカや中央アフリカで主食とされ、世界の生産量のほぼ25%を占める。
バナナの特徴として、花はびっくりするほど大きい。しかし、一見、大きな花に見えるのは葉が変形した苞葉(ほうよう)で、本当の花である果指(かし)が10本から20本程度つき、それが可食部に成長する。
日本では安くて食べやすいことから、年間消費量第一位のフルーツだ。 熱帯地域でしか栽培できないことから、消費のほとんどが海外からの輸入だ。 しかし、「凍結解凍覚醒法」という特殊な処理を種に施すことで、国内の冷涼な時期や地域でも栽培をすることができるようだ。
栄養としては、アミノ酸のトリプトファンを多く含んでいる。トリプトファンは体内でセロトニンという神経伝達物質に合成されるので、神経を落ち着かせたり、睡眠を促進する働きがあるといわれる。
他にも、フルーツの中では最も多くオリゴ糖を多く含んでいるといわれる。 オリゴ糖は、食物繊維とともに腸内環境を整える働きがある「ビフィズス菌」のエサとなり、ビフィズス菌を増やすことで腸内環境改善をサポートすることが期待できる。
腸内は免疫細胞の約7割が存在するので、腸内環境を整えることで免疫力向上にもつながるといわれる。
オリゴ糖は、デンプンが酵素によって分解され生成され、その酵素は40~50度に温めると活発になる。つまり、バナナは焼いたり、電子レンジで温めるとオリゴ糖が増えるのでおすすめだ。
或いは、ビフィズス菌を含むヨーグルトに和えて食べるのが、腸にもよい食べ方といえる。
また、バナナは皮に出る黒い斑点は「シュガースポット」といい、熟成がすすんだ証なのだそうで、ほどよく熟成させるといい。熟成により、タンパク質の一種であるサイトカインが増加する。
サイトカインは体内の免疫細胞である「ナチュラルキラー細胞」や「ヘルパーT細胞」の働きを活性化させるといわれ、免疫力向上が期待できる。
そして、「凍結解凍覚醒法」による国産バナナは、皮ごと食べることが出来るということが特徴だ。皮にはさらにトリプトファンやポリフェノールや葉酸、ビタミンB群を多く含む栄養満点さだ。
バナナの病気は、熱帯地方の害虫や細菌が原因となっており、そのための農薬を使わずに栽培できる国産バナナは、皮ごと食べても安心だ。
栄養もさることながら腸内環境から免疫をも整えるために、改めてバナナを日頃の食のルーチンに取り入れてみてはいかがだろうか?
バナナにビタミンCは含まれているか?
バナナは100gあたりカリウムが約360mg、マグネシウムが約32mg、ビタミンCは約16mg含まれています。
【編集後記】
バナナは青い未熟な状態で輸入されますが、意外と日持ちしません。そこで、房の部分をビニールで巻くなどするとバナナの房からエチレンガスを出にくくし、追熟を防ぐので長持ちします。是非お試しください。(既にスーパーなどでビニールで房を巻いてくれているところもあります。)